空き家の保有コストのうち特に注意したいのは、固定資産税と原則として市街化区域に不動産を所有している場合にかかる都市計画税です。費用に占める割合が大きいうえ、空き家の管理を怠って一定の条件に当てはまると、住宅用地に適用する税軽減の特例の対象から外れる可能性もあるからです。 固定資産税や都市計画税の税額は、税計算の基になる課税標準額に税率をかけて算出します。家屋は経年劣化を考慮した建物の評価額がそのまま課税標準額になります。一方、住宅用地は公示地価の約7割をメドに決める評価額を引き下げる特例があります。具体的には土地の200平方メートル以下の部分について固定資産税では6分の1に、都市計画税では3分の1になります。
しかし家を放置し、市区町村から「特定空き家」に指定されると特例を受けることができなくなります。特定空き家は所有者に適正な管理を促すのが目的で2015年施行の空き家対策特別措置法などで導入された制度です。まず自治体は空き家を調査し、倒壊など保安上危険になる恐れがあったり、衛生上著しく有害となる恐れがあったりする場合に特定空き家として指定します。所有者は家屋の修繕や取り壊し・撤去などを求められる「助言・指導」を受け、これに従わないと「勧告」に進みます。勧告を受けても必要な対応をしなければ、税軽減の特例が適用外になり、税負担が大幅に増える可能性があります。
空き家になりそうな親の自宅がある人は、まず相続人の間で早めに対策を話し合いましょう。だれも住まないなら、売却や賃貸を考えます。売却・賃貸が難しければ、税負担を含めて維持費を早めに見積もり、だれが親の家を継ぐのか、家を相続した人が費用を負担するのか、相続人の間で分担するのかなどを決めておくことが肝要になります。
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