マンション建替えを行うには、区分所有者の合意が必要となります。阪神淡路大震災発生前までに行われた建て替えは、全員同意を原則としていましたが、建て替え反対派から提訴されて裁判となり、その間、建替えが一時中断するという事態が起こりました。そのため2003年6月に区分所有法が改正され、区分所有者等の5分の4以上の合意があればマンションの建替えが可能となりました。
さらに昨年末の報道によると、所有者の賛同割合の引き下げなどを柱に区分所有法の改正を政府は分譲マンションの建て替え条件を「5分の4」から、共用部の変更や管理組合法人の解散などを決める場合と同じ「4分の3」か、それ以下に引き下げる緩和する方向で2022年度にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問するそうです。
これまでの建替えの実績は、区分所有者自らが資金調達して建替えを行う「自主方式」は極めてまれで、ほとんどがデベロッパーなど他の事業協力者と共同で行う「等価交換方式」だとされます。
「等価交換方式」とは、区分所有者が土地持ち分を出資し、デベロッパーなど事業協力者が建設資金を出資して、完成建築物の占有面積をそれぞれの出資比率で取得し、事業協力者はその持ち分を分譲するというものです。
初期に建築されたマンションのうち、敷地や床面積に余裕を持って建てられていたものについては、建替え後には増床することが容易にできたため、デベロッパーとの協力によって建て替えを行うことができました。しかし、マンションの建築時期が新しくなればなるほど、敷地や容積率に余裕がなくなっているため、現在では「等価交換方式」での建替えは次第に困難になりつつあるそうです。
デベロッパーの協力が得られなければ、区分所有者が自力で建て替えを行うしかないのですが、その場合には資金面の問題のほか、誰が事業のリスクを負って、建て替えを進めるかという深刻な問題が生じます。
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